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バロック作品をノンレガートで演奏するよう指示される理由

以前書いたこの記事

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バロック作品は歌いすぎてはいけないと言うけれど

>「チェンバロをイメージして」弾くとは…
>チェンバロは音の減衰が早く、またピアノ程強弱をつけることができない楽器
>だから
>・ノンレガートで弾く
>・抑揚を押さえて、歌いすぎないように弾くと言われる
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バロック作品を弾くとき、ノンレガートで弾くよう指示されることについて
「チェンバロをイメージして弾かなければいけない」と書いたのですが
実はもっと明確な根拠があることを知りました。
(有名な話?もしかしたら知っている人も多いかも。)

オルガンやチェンバロ、クラヴィーコードといった鍵盤楽器の奏法に関する有名な指南書が存在するのです。
音楽の父バッハの次男、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハが1753年と1762年に著した『試論』
そのなかに[スタッカートでもレガートでもない音符は音符の長さの半分の長さの間おさえる]とあります。
つまりはノンレガートで弾けということなのですね。※完全に知ったかです!(笑

『試論』はモーツァルト、クレメンティをはじめ後世に多大な影響を与え
ベートーヴェンはツェルニーに「エマヌエル・バッハの『試論』をよみなさい」と言ったそうです(本当かどうか…)

バロック作品をノンレガートで演奏するよう指示されるのは「チェンバロをイメージして弾く」だけでなく、
バロック&前期古典期は『試論』を見本とした弾き方、つまりノンレガート奏法が一般的だったのかもしれないですね!

正直、正しい弾き方と言うよりグールドのように聴くものを魅了する弾き方というのもあるよね!と思うけれど…
納得できる根拠が見つかって満足しました!!!

ちなみにノンレガートからレガート奏法に変わった時期はいつかというと
モーツァルトは自分のレガート奏法を誇り、「油のようになめらかに弾く事がもっとも重要」と考えていたようですし
クレメンティにいたっては「ピアノの鍵を音符の示す長さいっぱいおさえる」と書いているので古典中期に入ることにはレガート奏法が一般的になったようですね。

『試論』が出版された年はバッハが亡くなり(1750年)、モーツァルトが生まれた(1756年)時期と重なり、さらに鍵盤楽器の中心がピアノになった時期でもあります。
次々と発明/改良される楽器に作曲家も演奏家も試行錯誤していたのでしょうね。
悩みは250年たった今現在もちゃんと受け継がれていますよ(笑

ちなみにエマヌエル・バッハの『試論』は全音から
[カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ 正しいクラヴィーア奏法]というタイトルで出版され日本語で読むことができます。

バロック初期の通奏低音についてや装飾音符の弾き方、指使い等々様々なことに触れられているようで読んでみたいのですが
一部、二部となっており、値段も結構高いです…
[マンガ 正しいクラヴィーア奏法]が出版されることを期待しています!!!!


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追記:
この記事にはショーンバーグ著作『ピアノ音楽の巨匠たち』を参考に書きました。
バロック期から古典期まで、とくにエマヌエル・バッハ、モーツァルトとクレメンティがどのようなピアニストであったのか
手紙やさまざまな証言から推測していて興味深かったです(1章から5章くらいまで)。
6章から38章までは……です。

ピアノ音楽の巨匠たち

そして
[カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ 正しいクラヴィーア奏法]第一部を買ってしまいました。
これから少しずつ読んで、知ったかぶりご紹介できたらと思います。
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コメント

No title

マンガ版『正しいクラヴィーア奏法』に一票(#^^#)
これなら息子にも読めるし、ピアノ初心者の私にも理解できそう!
今回も勉強になりました、ありがとうございます

>クレメンティにいたっては「ピアノの鍵を音符の示す長さいっぱいおさえる」と書いている

そうなんですか?!?
ちびちびくん、先日終えた第二楽章ではいっぱいいっぱい音を伸ばしてないんですけど...
バイオリンを使って演奏していたとかなんとかって先生が話してて、なので出だしはちょっと切れた感じというか繋げすぎないみないな表現でした

奏法、なんだか奥が深いというか、おもしろいですね♪
図書館にあるかなと思って調べたらなかった(>_<)
マンガ版、でないかなぁ

Re: No title

ちびさん、こんにちは!
コメありがとうございます。

翻訳もいいけれど、小さいお子さんでも読めるよう工夫してほしいですよね?!
まぁ、40歳のおっさんも読もうとしていますけれど(笑
実はこの記事を書いた後、漫画版の発売を待っていられず1巻だけ買っちゃいました。
1巻は1章:運指法、2章:装飾音、3章:演奏表現でした。
※1巻、2巻それぞれ何について書いているのか全音のホームページを見てもわからないのが残念…

実は活字が苦手なので読み進められるかわかりませんが、
少しずつ、得意の”知ったか”を発揮して記事にしていきたいと思います(笑

バイオリンを使って演奏したかどうかはわかりませんが、旋律がハッキリしているのでバイオリンに合いそう!!
そういうイメージづくりも大切ですよね。
いま、ちびちび君の演奏をリピートしながらコメントを書いていますがやっぱり上手ですね♪
以前は表現したいことが100%な演奏でしたが、いまは少し客観性が出てきて全体のバランスが良くなっているように感じます!!
リズムやバランス、音の安定性等々は子供のころの教育が大切なんでしょうか、いくら練習してもなかなか身につかず嫌になります。。

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プロフィール

かつさん

Author:かつさん
小学校から高校までの約10年間ピアノを習い続けましたが

ハノン+ソナチネ+チェルニー30番+インヴェイションしかたどり着けずorz..

20年だった今ではバイエルすら満足に弾くことができません。

もはや、逆に奇跡!!!!

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